GMR 3 -Misdirectionのファンダメンタル-
バスケットボールのファンダメンタルである「ミスディレクション」
私は運良く高校生の時に指導者から学ぶことができたが、
これをファンダメンタルとして教える指導者に会ったことがない。
(ビジョントレーニングをファンダメンタルとしてやっている指導者がいるなら会ってみたい)
なので少しこれを言語化してみたい。
今回はオフザボールのオフェンスの話を中心に。
ディフェンスはボールを見ることが多い。
もしくはスクリーンが発生した時にスクリーナーを見る。
自分のディフェンスがボールやスクリーンを見ている時に、
そのディフェンスの視野の外に移動するアクションがミスディレクションのひとつである。
バックドアとブラインドカットは性質が違う。
バックドアはカウンターフェイクであり、
スピードやタイミングのカットである。
ブラインドカットはディフェンスの視野の外に切れていくもので、
必ずしもゴールへのカットではない。
よくゴール下への「合わせ」をドライブのドリルで練習するが、
ドライブへの合わせは味方に合わせているモノであるのに対し、
ミスディレクションは自分のマークマンに対して行っているものである。
チームの約束がある中で、
自分のディフェンスとの対話、
それがミスディレクションである。
ミスディレクションのファンダメンタルとして主にスキルは4つ。
① ディフェンスの視野が届かないところまでボールから離れること。
② ディフェンスが視野を切るまで「待てる」こと。自分の都合ではなく相手の都合で動く。
(切った瞬間にアクション取れる準備)
③ボールマンのアクションに対して連動できること。
(自分のマークマンが一番カバーできないアクションを選ぶこと)
④ 自分のマークマンに自分を警戒させないこと。
(フェイスガードされたとしても、抜け出せるぐらいの我慢)
ミスディレクションとはボールを持っていない自分のディフェンスとの1on1である。
相手が「こいつはとりあえず無害だ今は」と思うまで待って、
ボールを守るためにボールへ視野を移した時、
あるいはスクリーンやリロケートでポジションを変えたり、
ディフェンスのコミュニケーションをとって他のことに意識を向けたときに、
「相手の視野が届かない場所へマジシャンのように移動する力」
必ずしもゴールカットだけがミスディレクションではない。
これがわかるようになるとゾーンオフェンスも一つ上のステージに上がることができる。
・ベーシックなゾーンの視野の外(届かないところ)で行くことでワイドオープンを狙って
・意図的にディフェンスの視野の中へ入ること(ギャップペネトレイト)で他の仲間のスペースを広げる
人間の視野は180度はない。トンボやハエ、馬のような視野は持ち合わせていない。
基本的には90° ぐらいだと思っておくのが良いだろう。
(ビジョントレーニング次第でもう少しはあげられるかもしれない)
間接視野を使っても、人は180°より後ろのものを見るのは不可能である。
だからディナイするとバックドアに弱くなるのである。自分から視野を狭めにいく行為なので。
なので指導者は「フェイスアップ」つまり顔を振れとしきりに教える。
ミスディレクションがわかるとディフェンスも必然的に上手くなる。
「今このタイミングで移動されるとディフェンスが間に合わない」と思えるようになると、
視野をそこで意図的に切らさない努力をできるようになるからである。
昔女子高生を教えてた時にミドルへのカットがとてもうまい選手がいた。
私がまだミスディレクションを体系化する前の話である。
1試合に必ず1回はウイングからミドルにカットしてドライブを決める。
バックカットではなくフロントカットである。
彼女はどこまで私の教えを聞いていたかわからないが、
決してスピードがとんでもないわけではなかった。
おそらく自分のディフェンスとしっかり「対話」していたのだろう。
私の高校の時の同級生の副キャプテン。
彼をディフェンスするときは本当に疲れた。
足は私より遥かに遅い。ちょっとぐらいカウンターされても追いつける。
でも、彼は私が視野に入れてるうちは全く動かない。
しかし、「とりあえず抑えた。ボール状況は今どうなってる?」とボールを見た瞬間、
彼はいなくなる。彼は私が視野を切るまで待っているのだ。
視野を切った瞬間に動くと、彼の次のアクションが読めないので、後手後手にまわる。
もし彼が誰かにスクリーンをかけに行ったら、私のスクリーンボイスがワンテンポ遅れる。その結果スイッチミスが起こって得点に繋がる。
彼は「私が視野を切るまで」ずっと待っている。「切った瞬間」が彼のアクションタイミングなのである。すると私は彼から目を切れなくなってしまう。オフェンス能力はほぼ皆無の彼にずっと付きっきりでいないといけない。(ちなみにディフェンスはチーム1うまかったかもしれない)
彼はフィジカルポテンシャルが低かったので、ひたすら自分にできるオフェンスの術を探した帰結だったのかもしれない。
ミスディレクションはオフボールシチュエーションでのマークマンとの「対話」であり、
自分のマークマンへの「リードアンドリアクション」である。
ファンダメンタルとして、
チームオフェンスの都合で動くのではなく、
自分のマークマンが一番されては嫌なことをする=視野の外へ消えていく、視野の外でアクションを行うetc。
チームオフェンス(システム)の中で、
最大限自分ができる、マークマンのディフェンスとの駆け引きを行う。
ミスディレクションには「待つ」という力がいちばん大切で、
このスキルは一体に最年少で身につけられる歳は何歳なのだろうか?
ボールに群がる年代では絶対にできない技術である。
自分の選手たちに聞いてほしい。
「マークされた選手と試合中に対話していますか?」と。
自分のディフェンスの息遣いを確認しているか?
自分のマークマンのディフェンスがチームとして今どのようなディフェンスをしているか?
チームディフェンスをしている時にマークマン(私への1on1ディフェンス)への注意を散漫(あるいは惹きつけられる)か。
オフボールの時に自分のマークマンがされて嫌なことを40分間明確なスタッツを持って、
嫌がらせできているか?
オフボール 1on1特に5on5の中でのオフボール 1on1のディフェンスを育成の段階から明確に教えられている指導者はどれぐらいいるのだろうか?
現代のトレンドがオンボール1on1、特にオフェンスにその比重が置かれているのが大変個人的には嘆かわしい。
かっこいいプレイよりも、職人技に私は憧れる。
誰も考えていないようなことを、スポットも当たらずに貪欲にただひたすら自分の信念を持って遂行しているプレイヤーを私は試合で使いたいと思ってしまう。
人がやろうとしないことをただひたすらExecusionする。
コーチの想像を超えたオフボールアクションをできる選手は、
間違いなく自らの力で毎日プレイを「自想」している選手なのだろう。
ミスディレクションはだいたい老化が始まった頃に身に付く悲しいスキルなので、
できることなら身体能力が発展途上の段階で少しでも早く身につけてほしい。
もし、私が大学か高校生ぐらいで完璧に身につけられていたら、
「ボールを持っていない一番嫌なオフェンスプレイヤー」として無双できたかもしれない。
ミスディレクションにはまだまだ種類があるので、
またどこかの機会にオンボールのミスディレクションと、
アドバンスのオーバーフローを言語化してみたい。
ミスディレクションはインドネシアのバスケ界でも通じる。
「黒子のバスケ」偉大だ。
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