S3 Monologue ② -バスケットボールのカタチ-
「博士課程でなんの勉強をしているのですか?」と聞かれることがあるので、記憶や自分の脳みその中の概念整理のために備忘録。これを読んだ人は、バスケットボールでなく自分の競技で。そしてスポーツ屋さんでない人は自分が国際協力をするときの武器に置き換えてください。
大前提としてのコアクエスチョンは「バスケットボールは誰かを幸せにすることができるのか?」であり、それに対して「バスケットボールはこのようにして誰かを幸せにする可能性がある」というオーギュメントを展開するものである。
バスケットボールは生きていく上で必須ではない。なくてもそんなに困らない。世界のほとんどの人はバスケをしていないだろう。それでも世界中にバスケをして救われている人たちがいる。それはなぜか?どのような条件下でそれが発動しているのか?私の今回の2年間の活動はそれを探る旅である。
コートの上のバスケットボールよりも、コートの外のバスケットボール。すなわちバスケットボールが行われているその背景を探っていきたい。
バスケットボールはまず「バスケットボールのためのバスケットボール」として、
つまり目的として行われる。
「バスケットボールが上手くなりたいがため」Basketball for Development
競技力向上を目指すようなものが挙げられる。勝敗にこだわる。
「バスケットボールを楽しむため」Basketball for Fan
グラススルーツで行われているストリートバスケットボールなどが挙げられる。
勝ち負けよりもホビーとして、暇つぶしやストレス発散として行われる。
バスケットボールが目的として行われる場合は、特定の意図が介入せず、
非意図的な活動と言える。簡単にいうと「バスケットボールをする理由は特になく、ただバスケットボールが好きだから、余暇の暇つぶしの娯楽として行う」ようなイメージである。これらは自発的に行われるホモ・ルーデンス的な営みとも言える。
「バスケットボールとして」As Basketball
バスケットボールの特性を学ばせる。他の競技よりも秀でている(類似も含め)と考えられるものを理解させた上でどのようなアビリティを学ぶ(学ばせる)ことができるか考える。
これは手段的でもありながら目的的でもあるハイブリッドのコンセプトである。
ex.
フリースロー時のセルフコントロール
立体的な空間と時間と言った未来を複合的に考える「時空間把握能力」
味方と言語を使わないで連動していくノンバーバルコミュニケーション
ロジカルに考える思考プロセスや、制約下での問題解決能力など
指導者はこれらのバスケットボールの特性をプレイヤーの今後の将来、未来のステージを見据えてコーチできることが望ましい。
「バスケットボールを通じて何を学んだか」 Through Basketball
これはよく部活を引退した学生が「バスケットボールを通じてたくさんのことを学びました」
というバスケットボール(スポーツ全般にある)が持つ競技特性によって学ぶ(主に)ソフトパワーである。シュートが入るようになったからと言って、パスが上手くなったからといって、ドリブルが器用にできても一般的な社会生活では直接役に立たない。しかし協働しないといけない中で生まれたコミュニケーション能力や、他者を慮るリスペクト、規律を遵守して共有するディシプリン、自分のモチベーションや感情をコントロールする、など一般生活においても大切なソーシャルライフスキルが育まれることがある。これは非認知能力とも言える。
これは特に教育との相性がよく、学校体育や親がこどもをバスケットボールスクールに通わせる理由のひとつになる。簡単にいうと「社会に出た時に立派な大人になれるように」といったとこだろうか。
最近一緒にチームを組んだ高校生とご飯に行く機会があった。彼はもうすぐ卒業する。
「進路もー決めたん?」
「はい、大学に行ってスポーツ医学を学ぶことにしました」
「どうしてそれを選んだの?」
「自分が怪我して手術して、そこからスポーツ医学に興味を持ったからです」
このように良かれ悪かれその経験が自分の人生の職業選択に影響を及ぼすことがある。
バスケットボールの経験が次のキャリアへと誘っていくケースがある。
「バスケットボールの周縁にあるもの」Around Basketball
バスケットボールが上手くなるためにはその周縁の知識が大変重要になる。
医学(治療)や生理学(栄養)、法学(ルール)や経済学(ビジネス)など、
つまりありとあらゆる学問との付き合いが必要になってくる。例えば私は最近幼児や小学生を教えることがあるが、今まで大人しか教えていない私には難題である。つまり教育学とくに幼児教育を学ばないといけないということを痛感した。バスケットボールを取り囲んでいる周りのものを学んでいかないといけない。
「バスケットボールと一緒に」 With Basketball
Aroundに類似しているが、バスケットボールと共に学べることがたくさんある。
バスケットボール好きの勉強嫌いが小学生がいたとしたら、バスケットボールにまつわる教科教育を展開していくことである。バスケットボールの試合解説を聴きながら英語の勉強をする。バスケットボールアニメを見て日本語を勉強する。バスケットボールの試合を他府県まで見にいって旅行して地理を学ぶ。バスケットボール選手の絵を描いてみる。バスケットボールの動きを作って自分で音楽を作ってダンスを踊ってみる。バスケットボール選手の名前をひらがなで習字してみる。バスケットボールのシュートの放物線を使って算数を考えてみる。Primary Educationのためにバスケットボールを使用するようなイメージである。
「バスケットボールに付随した」On Basketball
自分の興味ある分野をバスケットボールの文脈で学んでいく。
服飾に興味があるのならバスケットボーラーたちはどのようなファッションが好まれているのか?
バイオに興味があるならバスケットボールはどのように作られているのか?
マーケティングに興味あるなら、バスケットボールの試合はどのように集客しているのか?
「バスケットボールと〇〇」を自分で調べていくものである。これは探究の授業や大学での高等教育と相性が良いのではないかと考える。バスケットボールのコンテキストでは〇〇どのような発展を遂げているか?と言ったものである。
「バスケットボールというメガネをかけて」Via Basketball
バスケットボールというレンズのメガネをかけて社会の仕組みを知るという社会学的なイメージである。
なぜ特定の国で流行っているのか?
男女平等に行われているか?
宗教は影響するのか?
サブカルチャーとして機能するのか?
自分の故郷ではどのようにバスケットボールが地元と結びついているのか?
バスケットボールというメガネをかけるとさっきまでの景色は変わって映るのか?
それとも同じ景色をそのまま映し出すのか?そのレンズの構造を鑑みる営みである。
「バスケットボールを利用して」By Basketball
バスケットボールを手段として特定の目的を達成するために使用する。
これが私の研究テーマの中で根幹をなすものであり、特にこの構造を改めて深く掘り起こしていくことが大切になってくる。
スポーツはさまざまな形で利用される。
ある国ではバスケットボールを政治利用して選挙の票集めにマニフェストとして掲げる。
ある国ではバスケットボールの試合で死人が出ることは日常で、場合によって殺し合い、内乱や戦争に発展する可能性も否めない。
ある国ではバスケットボールを金稼ぎの道具として活用して利権を得る。
良くも悪くもバスケットボールは手段でしかない。
ナイフが物を切れると同時に人を刺せると同時にその両義性やまたその多義牲を考慮した上でどのように活用できるかを考えて、そして応用していくことが望まれる。
By Basketballの中には
For Cultural and Business Development (Influenced)
ex. ファッションやアート、モノやコト売ってバスケットボール文化を発展させていくなど
ex. 選手たちが色々な場所を訪問して、勇気を与えていくなど
ex. 試合会場で歯磨き指導をして公衆衛生や、HIVの啓蒙など
ex. 緊急災害時のインフラとなるなど
ex. 未来の環境に、次世代のために社会的責任を果たしていく。
その他多くの手段的使用がある。
私の研究は世界中にあるby basketballの事例を解明していくバスケットボールジャーニーであると言える。
バスケットボールというボードに乗って世界中の波をサーフィンしていくバスケットボールツアー。
死ぬまでやっても終わらないのでなんとか論文を書き上げて、後世の人が私のセオリーを発展してくれるともしかしたら
Sustainable Basketball Development
を構築できるかもしれない。
みなさんはバスケットボール以外の何かで誰かを幸せにできるとしたら何を用いますか?
もう一回上から読み直して「バスケットボール」を自分の好きな言葉に全て置き換えてみてください。
バスケットボールではなく、自分がこれを使いたいというものが見つかったらきっと残りの任期も楽しく過ごせることでしょう。
「バスケットボールのおかげで」ではなくて
「バスケットボールで意図的に」私は目に映る誰かを幸せにしていきたいと思います。
子育てに役に立つかもしれない。
宗教の壁を乗り越えられるかもしれない。
ジェンダーの対立を緩和できるかもしれない。
貧困を1日だけでも忘れられるかもしれない。
エクスクルーシブを見直せるかもしれない。
社会にある課題に一歩でも貢献できるかもしれない。
未来がバスケットボールで変わるかもしれない。
「たまたまバスケットボールで」はなく、
「この時はバスケットボールを使った方がいい」と言えるように、
「あえてのバスケットボール」を提案できるように、
もっともっと世界中の事例を集めていきたいと思います。
良い事例あればいつでも教えてください。
世界はとても広いけど、論文書けば、きっとまた誰かが何か教えてくれると信じて。
研究は、世界中を1枚の紙で繋いでいくことができます。
まだ見ぬ世界にはきっと1人ではいけないので、願わくば世界中に友達ができるといいですな。
地図にもない場所へバスケットボールの色を塗りにいく。
さて、明日で任地に来て3ヶ月。そろそろ寿命も減ってきたので、同期とのコラボレーションを企画し始めていきましょうか。
バスケットボールはそんなに面白くないけれど、触媒になって何かとコラボするといくらでも面白くなる。
バスケットボールケミストリーが私がいちばん今回の人生で見ていて飽きないので、
触媒にしてくれる人を募集します。
〇〇 x バスケットボールなら永遠に肴になる気がします。
読んだ人はアイデアをください。
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