Jindo Basketball ① 日本とインドネシアのバスケットボール
インドネシアのバスケットボールをいろんなところを見て回ってかれこれ2ヶ月がたった。
「世界のバスケットボール文化を比較する」ことが今回の私の活動のメインミッションであるので、
ここに記録として残しておきたい。
もしかしたらこの記述が日本とインドネシアのバスケットボールに貢献する日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。
来ようがこまいがそれでも記録しておくのが良いと考えたので、
気づきができた時点で少し書き溜めていきたいと思う。
新しい発見ばかりで何から書いていいかわからないが、
とりあえず記憶があるうちに殴り書きで。
インドネシアはバスケットボールが独自の文化ともに発展している。
(独自じゃない国はないのでそこは突っ込まないでいただきたい)
まずは基本的なところから。
インドネシアは宗教国である。
(ムスリム、仏教、キリスト、ヒンドゥー etc)
それゆえに日本と違って練習の前後にお祈りのような時間がある(5-10秒)
練習に感謝するという時間ではあるが、みな自身の宗教によって祈り方がさまざまである。
また、練習中にもおそらくムスリム用であると思われるお祈り兼休憩の時間がある。
ということでマジョリティはムスリムであることは間違いないだろう。
(ただインドネシアは島や民族によって全く宗教色が違うので、あくまで私の関わっているコミュニティという前提)
また私の任地では中華系のインドネシア人が多い(Chines IndonesiaでCindoと称されることも多いが、敬称ではないので公の場では使わない)
彼らがバスケットボール関係者のマジョリティではあるが、彼らは仏教なので生活面ではそこまで日本人と変わらない生活を送っている。ような気がする。
しかしながらムスリムと言えどグラデーションがものすごく幅があるので、
「ムスリムだから・・・」といった常識もあるようでないことが多い。
絶対ルールだと思って日本から習っていったものも意外とみなが守っているとは限らないので、
そこはインドネシアのムスリムネスがガラパゴス化しているように感じられる。
バスケットボールを教えるためにインドネシアに来たが、
女子を教えることも多々ある。
ヒジャブを被っている子がいる女子チームを表彰させてもらう機会があったが、
表彰の際は「握手」を躊躇ったので、察することができた。なるほど。とここで勉強になった。
ヒジャブを被っている女子と握手することはよくあるので、
してもいいのかな?ぐらいに思っていたが、
状況や個人的にしてはいけないことがあることを知った。
「スポーツは宗教の壁を越えられるか?」という自分の中でのスポーツの価値の一つとして可能性を知りたかったが、女子との握手に関してはまだまだスポーツと言えど簡単なことではなさそうだ。
そして、ヒジャブを被っていないが「ムスリム女子」もいるだろう。
バスケットボールは比較的最近ヒジャブが公式にルールの中で被ることが認められた。
つまり宗教の「多様性」を取り込んだのである。
ヒジャブの露出を覆う度合いももちろん選手によってさまざまである。
個人的にはヒジャブ被ってバスケして熱中症にならないとかと心配になってしまうが、
(インドネシアは凄まじく暑い。大阪と同じぐらい暑い)
やはりヒジャブを被るという宗教文化は熱中症リスクぐらいでは超えることのできない壁なのだろう。
(壁という表現は適切かはわからないが、ただただ私はパフォーマンスに影響しないか心配である)
また、この地域ではU12ぐらいまでは男女Mixのカルチャーがあり、日本のミニバスに近いものがある。(とはいえリングは305cmだし、女子はもちろんワンハンドでシュートするが)
コーチングクリニックで私がとあるフィジカルコンタクトの練習を教えたところ、
男女でやることをためらったので私が入るシーンがあった。U14-16である。
「過度のフィジカルコンタクトのある練習は男女では良くないがコーチであるならば例外」というふうに解釈した。本当かどうかの検証は今後パターンを確認しなければならない。
単純な対人練習では問題なくMixで行うのだが、フィジカルコンタクトにフォーカスした練習は配慮が必要だとまた勉強になった。
次は気候面。
とにかく暑い。体育館でACがついてるところはインドネシアにもそこまで多くはないだろう。
私の街の体育館の多くは Indoor-Outdoorの間ぐらいで、窓が多かったりそもそも屋根とコートだけのスタイルが多いので壁に換気性能を付与できる。扇風機も業務用のがたくさん付いているので、
暑すぎるのは間違いないが、日本のような密封された暑さはないのかもしれない。
また、今は雨季であるので比較的に雨が降っている間や夜間はそこそこ涼しい。
それでも自分の部屋でACなしの生活はなかなか大変なので日本より暑いのは間違い無いだろう。
日本人はよくバッシュの底を手で拭いて、グリップを上げる所作があるが、
(おそらく足は宗教的には洗うものなので、底を素手で拭くのはきっと汚い行為に相当するだろうと推察される)
インドネシアはいかんせん汗をかくので汗ばんだ手を床で拭いて水分を取るという所作をよく行う。
インドネシア人の体質で手に汗をかきやすいのか、ただ暑すぎて汗をかいてボールが滑りやすいのか、そもそもファンダメンタルとしてキャッチする能力の問題ないなのかはこれから調査するところである。
その他、モンゴルでもそうだったがバスケットボールのネットがとても円柱というか地面に対して垂直なものが多い。日本のネットは底が絞れていってHoopの直径より狭いものだが、こちらのネットは絞れていない。個人的に、こどもがバスケするときはシュートがストレートに落ちて危ないと感じる。ネットのないリングのように、入ってから地面に落ちるまでのラグがないので、頭によく当たりそう。また、同僚とも話していたが「シューターであればあるほどネットの鳴らし心地が大変重要」である。もっともな意見である。このネットではなかなかミッチーは甦りが難しいだろう。ボールの触り心地、バッシュの履き心地と同じぐらいネットの「音心地」はバスケットボーラーにとって大切なものである。日本のネットはどこのものを使っているのだろう。。。。
心地で思い出したがもう一つ。ドリブルの「跳ね心地」が日本のそれとは全く違う気がした。
昔のモンゴルの床はただ床が劣化して凸凹で不規則なドリブルになっていたが、
インドネシアではおそらく反発?が日本とは違う。
仮説としては2つある。
1. ボールの質が少し違う。モルテンのボールと言えど型番やもしくは素材が微妙に日本とは違うのかもしれない。湿度や気温で劣化速度もきっと違ってくるだろう。もちろんメンテナンスしてるとは思えないので(私はいつも日本ではボールにオイルやワックス等で大事に手入れしていた。天革は生物なので革靴と一緒である)その経過具合もあるのかもしれない。
2. 基礎が違う。木の床の下にコンクリートの基礎があるが、どうもドリブルの感触的に板のすぐ真下に隙間なくコンクリートになっている気がして反発がとても強い気がする。体育館によって木の床の厚みが全く違うので、中開けてみないとわからないが、床下の基礎が日本のそれとは違うように感じた。もしかしたら私が長いことコートから遠のいていただけかもしれないし、歳とって身体が重くなっただけかもしれない。
総じてそこから思ったことは、日本に比べコンクリートに近い土壌でやっているので、
足への反発の負荷は大きいのでは?と思った。となると日本よりもなおのこと中敷などのアクセサリーが大切になってくるのではと思った次第である。
木の素材に関してはこれも専門家ではないが概ね良い木を使っている気がする。
ワックスをしっかりコーティングしているのでそんな簡単には悪くはならないだろうと感じた。
プレイ面で言うとやはりファンダメンタルはそこまで気にせずやっている。
モンゴルほどではないがプレーが荒い。ファールは日本ほど簡単には鳴らさない。
なのでそういう意味ではケガの危険性が高いのでみている方は正直怖い。
「ケガをさせないオフェンスやディフェンスの方法」は日本ほどは教えてもらえていないかもしれない。
草バスケにもほとんど審判がいるぐらい、審判はこの国ではプロフェッショナル(本業か副業かはさておき)として審判がいつも駆り出されている印象を受ける。
コーチもチーム専属のコーチというよりはチームを掛け持ちしているコーチが多そうな気がしてきた。(日本では基本的に1つのコーチが複数チームを持つことは基本的にないので。部活で男女一緒に持つ場合は除く)
日本の部活も少しずつ外部指導者に移行しているのだから、
月曜日はAコーチ、火曜日はBコーチみたいな感じで日替わりだったらそれはそれで面白いような気がした(Feasibilityは置いておく)いろんな指導を仰げる方が部活(課外活動として)の意味合いは大きいように思う。
インドネシアの子どもは日本と同じようにIndivisualのスキルは決して低いようには思わない。
その代わり基本的なボディコントロール(雑巾掛けやらせたら大体走る前にこける)やIQなどのファンダメンタルの考え方はそこまで重視されていない。
もちろんまだ田舎のバスケットボールを少しみたい程度で、
そもそも1ヶ月しかまだこのまちで暮らしていないので、
これからもっともっとExploreしていきたいと思う。
本当にバスケットボールが「違う」ということが私には何より楽しい。
なぜこうもグローバルスタンダードがはっきりしているはずのバスケットボールが
どんどんローカライズされていくのか。
(電光掲示板はしょっちゅう不具合を起こして試合が止まる)
もしかしたらインドネシアがローカルなんじゃなくて、
日本が実は激ローカルすぎただけかもしれない。
ということでひとまずこの辺で。
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